この作品は18歳未満閲覧禁止です
![](/image/skin/separater2.gif)
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第1章 山本均
![](/image/mobi/1px_nocolor.gif)
おそらくは隣の住人、他人と顔を合わせたくない一心での行動だろう。
――バタン!
僕を部屋の中へ引き込むと、岬ちゃんは急いでドアを閉めた。
「あの……」
そう口にして玄関に突っ立ったまま、彼女がドアを施錠しドアチェーンを素早くかける動作を見つめていた。そうしてから彼女は大きく息をつき緊張を解くようにして、ドアから僕の方に向き直る。
至近距離で眼鏡のレンズ越しの、上目遣いの視線を向けられた。真っ直ぐな眼差しに、やや怯んでしまう。
「靴を脱いで、部屋に上がってください」
「だけど……」
「お話でしたら、とにかく中で。ここでは窮屈ですから」
十数センチの身長差を除けば、二人の距離は存外に近い。どてらの中の胸のふくらみが、僕の身体に触れそうなほどに。
「そ、そうだね。じゃあ」
自分の部屋に居ることで、岬ちゃんは少し落ち着きを取り戻したかのようだ。外でみたような挙動不審さはなく、口調も幾分はっきりとした感じ(少し怒ってない?)。
そんな勢いに責められるように、彼女の部屋に上がった。
部屋はいわゆる1Kで、狭いキッチンの先の居室は六畳くらいの広さ。ダークブラウンの遮光カーテンが覆う窓際に頭を向けるようにして、一人にしては大きめのベッドが置かれている。目につく大きな家具といったら、それくらいだった。
![](/image/skin/separater2.gif)
![](/image/skin/separater2.gif)