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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第1章 山本均
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あとは折り畳み式の座机が白い壁に立てかけてあったり、ノートパソコンがフローリングの床に直接置かれていたり。他には、ぱんぱんに膨らんだ大きなトートバックがベッド脇に二つ置かれているのと、部屋の一角には段ボール箱が堆く積み上げられていた。
全体的に飾り気はなく雑然とした雰囲気だけど、埃っぽいとか不潔な印象はない。
「どうぞ、そちらへ」
と、ベッドの上に座るように促されるけど。
「あ、いや……ここでいいよ」
一応は断り、フローリングの上に敷かれた二畳ほどの大きさのラグマットの上に座った。すると岬ちゃんはリモコンでエアコンを稼働させると、僕と向かい合うように正座する。
眼鏡とマスクと帽子は、いつの間にか取り去られいた。後ろで束ねていた髪を解くと、それを広げるように軽く首を振る。
そうして、ありのままの素顔を向けられた。
さてと。改めて話そうとすると、これがまた難しい。部屋の前で頭の中に浮かべていた文言は、すっかりとどこかへ消えてしまった。
誤解を解こうとして、更なる誤解を生むことだってあり得るだろう。そしてなにより、こうして女の子の部屋の中にいることで、気持ちが舞い上がって仕方がない。恥ずかしながら、人生ではじめてのことだ。
あれこれ思慮している僕を見かねたのか、暫くして口を開いたのは岬ちゃんの方だった。
「あの……誤解を受ける前に、はじめに言っておきたいのですが」
「な、なに?」
誤解を解きたい僕を前にしながら、彼女が受けたくない誤解とはなんだろう。呑気に考えて、ぷるんと艶やかな唇を注視する。
「エッチな、ことって……」
「はあ?」
予想しない言葉に、間抜けな相槌を挟んだ。
「……たとえば、どんな?」
岬ちゃんはそう尋ねて、顔を真っ赤に染めた。
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