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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第1章 山本均
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どうみても、悪気があるようには見えない。そんな態度も相まって、彼女の魅力が上昇カーブを描きめきめきと上がってゆくようだった。
このまま劣情に押し流されるのは不味いと感じて、冷静になろうと努める。
「あの、よくわからないんだ。岬ちゃんの言ってること」
「すみません。やっぱり、変ですよね」
「そうじゃないけど。通常のエッチができないって、どういう意味なのかな。できればもう少し詳しく、教えてくれると助かるけど……」
「それは、つまり……わたしに、資格がないというか」
「資格?」
「……」
セックスをする資格がないと、彼女は言っている。でも、その理由については簡単に話してくれそうもなかった。
彼女の住む部屋の中を改めて眺めてみる。ここに引きこもる理由と今彼女が言ってることは、決して無関係ではないはず。それだけは、なんとなく理解した。
岬ちゃんの過去に、一体なにがあったのだろうか。
「こんな、わたしでは嫌ですか?」
「い……嫌じゃない、けど」
そう言葉を絞り出したものの、この先にどうしていいのかなんて、まるでわからない。ただ心臓の音だけがドクンドクンと熱い血潮を全身に漲らせていた。
これから〝エッチ〟ではなく〝エッチなこと〟を、始めるのか? 僕と岬ちゃんの二人で……。
「だけど、わたし……どうしたらいいのか、わからなくて」
それは、僕も同じ。
「だから、たとえば……まずは、岬のことを……ドキドキさせていただけませんか?」
え……?
「か……感じさせて、ほしいんです?」
ゴクリ――思わず喉を鳴らす。
「均くんは、そういうのキライですか?」
潤んだ瞳で、そう問われた時に。
わけもわからないまま、首を左右に振った。
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