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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第1章 山本均
「どういった道を目指し、どのような技量を身に着けるのか。まずは具体的なプランを言ってみせろ。それに納得できれば考えてやらんでもない」
腕組みをした父から激しいプレッシャーを受けつつ、僕は俯き加減に言葉を絞り出したのだけど。
「た、たとえばさ。趣味を生かす形だったり……」
「あら、趣味って、なぁに?」
と、母からあっけらかんと問われ。
「その……僕はアニメが好きでよく観るのだけど。最近になって、アニメ制作に関われる仕事ができないかと考えるようになって……」
「美術の成績は、せいぜい中の下だったな。そんなお前がアニメーターだと?」
父の露骨なあきれ顔に、僕はむっとした。
「誰もアニメーターだなんて言ってない。絵とか描けなくても、アニメに関わる方法は他にもあるんだ」
「それは、どんな?」
そう聞き返されると、一気に勢いは削がれた。両親の視線に晒される中、僕はぽつりとこう告げたのだった。
「せ、声優……とか?」
はあ……。
同時に大きなため息を吐いた両親は顔を見合わせた後で、代表するように父が最後通告を言い渡したのだ。
「馬鹿なことを言ってないで、ちゃんと就職をしろ!」