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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第1章  山本均 


 子供の夢や希望を、あそこまで完膚なきまでに否定する親があっていいものだろうか。そんな反感だけが、今でも胸の中に渦巻いている。

 そりゃあ「声優」なんて口にしたのは、苦しまぎれに違いなかった。それが夢かと問われれば、現段階で自信をもって「そうだ」なんて言えるはずもない。

 そもそも大学受験に失敗したのも、努力が足りなかったといわれれば、それまでなわけであり。結果が出せなかった自分を情けなく思う分、交渉に際しては最初から旗色が悪すぎた。

 旗色が悪いといえば他にも諸事情があり、それは僕の兄弟の話になる。僕は三兄弟の次男であるのだけど、兄と弟がいずれも超優秀なのだから余計に辛いところだった。

 三つ上の兄は現在、東京の超一流国立大学の法学部に在学。将来は弁護士として独立し事務所を構えることを、本人も両親も疑ってはいない。

 一方、二つ下の弟は県内屈指のサッカー強豪校のエースで、今年の全国大会にも出場。こちらも都内有名私立大学へのスポーツ推薦が、ほぼ内定している。

 同じ遺伝子で、なぜ僕だけが……。

 そう思うのは両親にしても同じようで、せめて地元の国立大学に入ってくれたらとハードルは下げたつもりでいたから、その落胆は大きかったようだ。

 でもそれは、優秀すぎる兄と弟との相対での下げ幅であって、僕にとっては初めからギリギリのラインだった。

 山本均(やまもと たもつ)という、この名前が悪いんじゃないかって考えてしまう。名字が平凡なのは仕方ないにしても〝均〟という一字には僕自身が、あまりポジティブなイメージを抱けずにいた。

 凹凸がなく均(ひと)しいさま。一点に秀でた兄や弟の真ん中で、僕の人生はこの先も輝くことなどないのかもしれない。

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