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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第1章 山本均

僕は壁についたのと反対の右手で、その左胸の頂点を探ぐろうとする。
昔ながらのオーディオセットで音量を調節するツマミみたいに、人差し指と親指を用い硬く感度を示すそれを摘まもうとした、寸前。
岬ちゃんは顔を赤らめながらも抵抗することなく、自分の乳首が弄られようとするさまを、息を呑んで見守っている。その表情を備に眺めつつ、僕はあえて手を引いた。
「やっぱり、よそう」
「え?」
「だって、今日はコレを使うというのが、岬ちゃんのリクエストだから」
ビビィィ――――!
「あっ!」
けたたましい音が再び鳴り出し、岬ちゃんは驚いたような声を上げた。
僕はベッドの上に置いていたマッサージ器を可動させ、それを彼女の眼前に示している。
「コレを使って、僕にしてほしいこと、まだあるよね?」
「うっ……」
岬ちゃんが、ごくん、と喉を鳴らしたのがわかった。
僕は淫靡なバイブレーションの源を、首筋、胸元、腹部の付近を身体には触れずに移動させる。そうして、また岬ちゃんにささやきかけた。
「脚を、ひろげて」
「そ、それは……」
「ほら、頑張って――ひろげるんだ」
僕は俄かに語気を強める。

