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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第2章  〝岬〟 


「岬ちゃん、すごい濡れ――」

「いやっ、お願い。い、言わないで……」

「そうだね、悪かった。つい興奮して」

「え?」

 均くんも、興奮を……?

「当然さ。胸を触ってる時から、ずっとズボンがはち切れそうになってる」

「……」

 そうなんだ。わたしの裸が、均くんの男の人の部分に興奮を与えることができた。それだけのことが、素直に嬉しく思えた。

「だから、岬ちゃん。お願い」

「な、なんですか?」

「岬ちゃんのココ――直接、触りたいんだ」

 均くんは言って、既に濡れた下着の上からそっと撫でた。

「……」

 そこは〝傷跡〟にほど近い。相手が均くんとはいっても、いいえ、均くんだからこそ、そこに近づかれることを憂慮してしまう。

 彼の優しさは信じていたし、委ねるとも決めた。だけど、もし傷跡の方で彼を拒絶してしまったとしたら、わたしには、きっと誰もいなくなってしまうだろう。

「岬ちゃん……?」

「お願いです……できるだけ、優しくしてください」

「わかった。岬ちゃんはとっても、デリケートな女の子だから」

 違う。わたしは、そんなのじゃない。ただ、傷跡を疼かせること。これ以上、自分の過去に囚われてしまうのが、恐ろしかっただけ。

「んっ……!」

 均くんは何度か下着の上から触れると、それから中にゆっくりと手を滑り込ませてきた。

 わたしはまた、真っ暗な視界の中で、彼の指の動きだけに神経を集中。感覚は自然と一点に集約された。

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