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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第2章  〝岬〟 


「あ……あ……」

 アンダーヘアに触れられ、なんとも言えない気持ちに襲われる。そこまでも既に、しっとりと濡れていた。

「……」

 無言になった均くんの、その緊張が伝わってくるよう。彼の方もまた、自らの指先で探ることに神経を集中させているのだろう。

 はあ……はあ……はあ……。

 ふたりの呼吸が交差するのを、景色のように感じながら。

「……ッ!」

 ついに彼の右手が、わたしの核心へ至った。

「ご、ごめんなさい」

 恥ずかしさや他の複雑な気持ちを混ぜ合わせ、わたしは無心で言う。

「どうして、謝るんだ?」

「わたし……もう、自分でもわけがわからないくらいに……濡れてる」

「ああ、すごく」

「結局……わたしは、こんなにもいやらしいの。いやらしくって、だから……ごめんなさい」

「それは、僕に言ってる? それとも――」

「……」

 そうじゃないのかもしれない。もう意味があって、口にしてることではなかった。

「気にするなよ」

「……?」

 均くんの指先は止まったような速度で、それでもじっくりと、熱量を確かめるかのように動く。一帯を十分すぎるくらいコーティングする分泌液を膜とするように、とても繊細に表面を滑っていた。

 右手の何本かの指を用い、わたしの形にゆっくりと沿わせる。

「僕は、そんな岬ちゃんのことを、もっとしりたいと思う。だから、触れてみたい――もっと」

「均くん……」

 アイマスクの中から、涙が零れてゆくのが、わかった。

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