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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第2章  〝岬〟 


 耳元では、彼のささやきが心地よく響いた。

「なにも心配せずに、今は感じればいい」

「あああっ!」

 決して乱暴になることはなく、指先は緩やかに刺激を増した。それに伴い、自分の内から次々に、溢れてくるもの。もう、それを止める方法なんて、わからなかった。

「あ! そんなぁ!」

 右手を下着の中に入れたまま、更に彼の舌が乳首を吸った。無防備となった箇所への愛撫を加えられ、わたしは驚いたような声を上げる。

「もっともっと、岬ちゃんに触れたい――感じさせたいんだ」

「たっ……もつ、くん……」

「キミのことを、わかってあげたい」

「わ、わたしのこと……?」

「そう――だから、もう少しだけ、奥に」

 え、あ…………くっ!

 その刹那、均くんの指先が、わたしの中に入ってきた。

 わたしはその感触に、この身を震わせ、思わず均くんを力いっぱい抱きしめていた。小さな胸の中に、彼の頭が埋まるくらい、強く。

「岬ちゃんの中、とても暖かい」

「はっ……あああ……」

 均くんは指を深くまで差し込まず、中ほどで留めていた。それでも、わたしは内側から、その訪れに歓喜する。

 ぞくぞくとした快感が、止めどなく溢れて――くる。

 そして、わたしの胸の中の彼は、直接、心に届かせるように、言った。

「感じる? 感じて、くれてる?」

「う、うん――――」

 そう答えた時、身体に電気が奔り。わたしはそのまま意識を飛ばし、たぶん、果てた。

 均くんの言葉と声音が、自分でもしらない扉を開け放った。そんな、気がしていた。

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