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義妹(いもうと) 舞ちゃん
第16章 夏の日の思い出。
旅行は
タイスケの運転する
ウチヤマ鉄工のワゴンで出発した


田舎町からは
山をいくつか超えて
クネクネした山道を抜けて
およそ4時間ほどで到着する
日本海に面した
民宿が多く立ち並ぶ海水浴場だった


現地に到着するまで
運転は
タイスケとケンヤが交代でして
マイコは
マサヤとジュンに
リュウの相手をしてもらいながら
助手席で運転するチズを見ながら
タイスケとケンヤのナビ役をした


『わりいな…マイちゃん。このクルマ…もう10年選手で…買うときにケチったからさぁナビついてないんだよね』と
タイスケかわ申し訳なさそうに
言い訳をした

『ホント… そろそろ買い替えたらどうですか?って俺達が言っても聞かないんですよぉ…』と
ケンヤがタイスケへの
日頃の意見をマイコに話して
同意を求めた

『ホントそうッスよね。マイ姉さんからも、社長にそろそろ新車買うように言ってあげてくださいよぉ!』
後部座席で
リュウとゲームをしている
マサヤとジュンもそう言って
会話に割り込んできた



『ねえ!みんなでいると、本当に楽しいね〜!』
リュウの無邪気な一言に
クルマのなかに
心地よい暖かさが
広がった…


マイコ自身が
家庭の暖かさをまったく体験せずに
育ったため…
この車内の雰囲気には
マイコに家族を実感させるに
十分な幸せ感が漂っているのを
感じていた


マイコはふと
クルマの窓から夏空を見上げて

『キョウスケ…。この町に来て、私はやっと人並みの幸せを感じることができてるわ。 お義兄さんに出会わせてくれて感謝してる…。』
そう天国のキョウスケに
語り掛けていた。


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