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秘密の師範と内緒の愛弟子(ビスカスさんのサイドストーリー)
第1章 闘人館の十五代
「良いか!!お前を上に立てない事は、天の摂理に反する大罪だ!!この世の宝の持ち腐れだ!!私は十四代目として、最も優れた弟子と見込んだ者に、ここを受け渡す義務が有る!!それを、お前はぁあああああ!!」
「……ううううう……分かりましたぁー……」
「ぐぅっ!!」
見ようによっては可愛く無くもなくグズグズと拗ねられて、先代はこめかみの血管が切れそうになりました。怒る気力も湧きません。
「……そこまで言って下さるお心を無にしては、今迄受けた数々の恩誼に背く事になってしまいます」
先代がぶっ倒れる前に、ウバシは居住まいを正して、堂々とした正式な礼を行いました。
「不肖私ウバシ、師匠の御言葉を有り難くお受けして、後継者として精進致す事を誓います」
「おお……!!」
その才能を見出し、自ら育てた弟子の立派な姿に、先代の目には涙さえ浮かびました……が。
「……でもー、公的な場でなければー、これでもお許し頂けるんですよねーっ?」
「っこっのっ馬っ鹿もんがぁああああああ!!」
先代は見ようによっては可愛くなくもなくテへっと笑うウバシの脳天を手刀でかち割りながら、こいつを躾け終えるまでは死ねないと、大きな溜め息とともに胸の内で堅く誓ったのでした。