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第5章 閑話　兄弟子夫婦のその夜の話

「……いけないこと、って……」
「んー？」

　ローゼルの首筋に口づけながら、ビスカスは生返事をしました。もうすぐ二人の結婚式です。痕を付ける訳には行かない場所とそうでない場所を、慎重に見極めなくてはなりません。愛する妻の晴れ舞台を台無しにしない為、怒りと涙の平手打ちを喰らわない為に、ビスカスは至極真剣でした。

「ね、っ……どんな、いけない夢、見てたの？」
「……すげー沢山有りやすよー？」

　口づける度にぴくりと反応する癖に質問を諦めないローゼルに根負けして、ビスカスは苦笑いしました。

「こんなとこ触ったり、」
「あ……」

「こんな事したり、」
「んっ……んん」

「こんなんとか？」
「あ……んっ」

　あちこちを擽られ嬲られた後、内側に指を深く沈められて、ローゼルの腰が揺れました。

「あとは、そーですねー……嫌がるリュリュを無理矢理押さえつけてヤりまくってよがり泣かせ…………あれ？」
「なによ……」

　ふとビスカスの指が止まり、ローゼルはびくっとして不機嫌そうな声を出しました。

「……今、なんか……」
「なによっ！」
「リュリュ？」
「だから、なにっ？！」
「ちっと、お願いが」
「……どんな？」

　お願い、と聞いて急に不安げになったローゼルに、ビスカスはさらっと言いました。

「その……ちっと、俺が修行に出る前位の、お嬢様の頃の気分に戻って頂いてですね？」
「えっ？」

　不意を衝かれたローゼルの耳元で、ビスカスはねちっこく囁きました。

「……使用人の俺に押し倒されて無理矢理中に突っ込まれて、泣いて嫌がってみちゃくれねーですか？」

「！！なっ……！！」
「わわっ！やっぱり締まっ……痛てて！！」
「ばかっ……！馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿助平変態っ！！」

　ローゼルはビスカスの胸の辺りを拳でぽかぽか叩きながら、怒りとも恥ずかしさともつかぬ気持ちで、全身真っ赤になりました。