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秘密の師範と内緒の愛弟子(ビスカスさんのサイドストーリー)
第5章 閑話 兄弟子夫婦のその夜の話
(……別にっ……その頃のビスカスに、何されたってっ、別にっ……)
言われている事に心が動いたりは、していない筈なのです。そんなはしたない目に遭いたいと思った事など、一切記憶に有りません。
それなのに。
「……あれ?また」
「……ゃんっ……!」
そんな事は無いと思えば思うほど想像してしまい、想像しただけで、自分の中深くに入っているビスカスの指を、きゅんと締め付けてしまいます。それを指摘されればされるほど、自分の意志とは関係無く、内側が物欲しそうにざわざわ蠢いてしまいます。
ローゼルは恥ずかし過ぎて、ビスカスの腕をぎゅっと握りました。
「ゃっ……馬鹿ぁ、止めてっ」
「……すいやせん、俺ゃあ元々助平な変態なんで、止められやせん……ってか、馬鹿で助平な変態に弄られて感じてんですか?」
「違……ぁんっ!だめっ、抜いてぇ、動かさないでっ……」
「うん。その調子でさあ」
「やっ……やだ、本当に、違っ……あ、あ」
涙の滲んだ目を伏せて首を振って喘ぐローゼルからは、ぞくぞくする様な色香が溢れて来ます。ビスカスは舌なめずりしながら、ローゼルの耳朶を甘咬みしました。
「っやぁ!!」
「……大人しくなさって下せえ、『お嬢様』」
「っ!!」
しばらく振りにそう呼ぶと、ローゼルの体からくたんと力が抜けました。
「やぁ……ね、やめて……だめっ……やだぁっ」
「良いんですか、お嬢様……騒ぐと、誰か来ちまうかもしれねーですよ?」
「っ!!」
「う」
(……ちょ!!誰か来ちまう方が感じんですか、アンタ!)
自分の言った事にびくりと思わぬ反応を返してきたローゼルを、ビスカスはしげしげと眺めました。いやいやと眉を寄せて、艶っぽく喘いで居ます。
(……女ってな、分かんねーね……!!)
次回以降の為に「お嬢様は誰か来ちまうのがお好き」という、口に出したら平手打ちか拗ねて怒り狂って中断されるのが確実という情報を脳内の「可愛い妻のお強請りノート」に書き込むと、ビスカスはお嬢様に無理矢理ヤッちゃうごっこに集中する事にしました。