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秘密の師範と内緒の愛弟子(ビスカスさんのサイドストーリー)
第5章 閑話 兄弟子夫婦のその夜の話
「リュリュ?!どーしやしたっ?どっか、ツラいですかいっ?」
「……こんなっ……」
おろおろしながら宥める様に頭を撫でると、顔を覆った掌の下から、妻の呻きが漏れました。
「こんなっ……こんな、茶番っ……ばかみたいっ……!」
「え?なんでです?あれじゃあ満足しやせんでした?……あー、お嬢様ごっこしてみたら滅茶苦茶感じちまったから恥……ぶほぉっ!!」
「ばかぁっ!!馬鹿馬鹿馬鹿っ、無神経っ!!変態助平卑猥破廉恥っ!!!!」
「……すいやせん……調子ん乗りやした……」
枕で思い切り叩かれて、さすがのビスカスも少しばかり反省致しました。このままローゼルを怒らせてしまっては、結婚式が危うくなります。
「……嫌いになりやした?変態で助平で卑猥で破廉恥な俺のこと」
「……お前なんかっ……!!」
ローゼルはそこで言葉を切って、叩かれた枕を抱き締めて項垂れてしおたれて上目遣いで見詰めて来るビスカスを一睨みして、ぎゅっと目を閉じました。
ビスカスと交わって、自分でも思いもしなかった自分がさらけ出されて目が眩みそうになり、体も心もどうにかなってしまいそうな快楽に落とされるのは、今ではローゼルの日常で、ローゼル自身の一部です。日常であり自分自身なのですから、嫌いも何も有りません。
それに、一見下らないお嬢様ごっこも、自分がまだ気持ちを自覚しなかった頃からずっと女として見られていたと思ってみれば、恥ずかしい反面こんこんと沸き出す様な悦びに繋がる事でもありました。