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秘密の師範と内緒の愛弟子(ビスカスさんのサイドストーリー)
第6章 男装の弟子、女装する
「『命有る限り貴方を敬い、仕え、愛する事を誓います……』って……!」
ウバシとジャナは、ビスカスとローゼルの結婚式に招かれて居りました。
「……あーん!!お式、素晴らしかったわねえ……!!」
乙女心全開でそう言ったのは、ジャナでは有りませんでした。
「はい!師範さま」
「奥様、本っっ当に、お綺麗だったわよねえ……溢れる気品……この世の者とは思えなかったわ……」
「ええ……!」
いくら弟弟子や兄弟子とは言え、通常であれば闘人館の人間が親族以外の婚礼に参列するなど、無いことです。今回は、例外中の例外でした。
*
ビスカスとローゼルは、訪問の翌日、帰る前に闘人館に立ち寄った際に、仕事半分での式への参列を持ち掛けました。
内容は、私人としての参列では無く、公人としての時期領主候補のローゼルの婚礼で表立たない警護役を担って欲しい……と言うものでした。
「そうよねえ。後継者候補の、『水晶の薔薇』ですもの。何かと心配だわよねえ」
「ええ。兄さんにお願い出来りゃあ、俺もローゼルも安心です」
「分かったわ、お受けしましょ。ワタシ一人で、良いわよね?」
「いいえ」
「あら、奥様……ワタシ一人じゃご心配かしら?」
「いいえ、師範様」
片眉を上げてにやっと笑ったウバシに、ローゼルはにっこり笑い返しました。
「師範様お一人いらっしゃれば、千人力ですもの。他にどんな警護も要らない位、安心ですわよ?でも、婚礼や宴席で、師範様がお一人でいらっしゃると……」
一旦言葉を切ったローゼルは、ほんの少し困惑して見せました。
「……物凄く、目立ちますわ。」