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秘密の師範と内緒の愛弟子(ビスカスさんのサイドストーリー)
第7章 婦人の悩みと殿方の困惑

 ローゼルとビスカスの結婚式からしばらく経った、ある日の事です。
 ジャナは稽古を終えた後、傷や不調に効く薬草を採りに行く為、皆とその場で別れました。
 薬草には、最も薬効のある時季、採取に相応しい時刻が有ります。ジャナは好機を逃さずに、有効な成分を多く含んだ部位だけを摘み取り、植物の種類によって、酒や塩など最適な物に漬けて、瓶に保存しておりました。

「……これは、二つ仕込まないとだから、倍必要、か……」

 ジャナは故郷に居たときから、師匠に習って、植物を採って保存しておりました。物によっては浸けてから年月を経る程熟成し、薬効が高まる物も御座います。
 故郷を出るとき、自分の仕込んだ瓶は置いて来ておりましたが、この地に来てから仕込んだ物も、大分増えて参りました。その中には、故郷でも見られる植物も有りましたが、故郷には無い植物もいくつか有りました。
 ジャナは、故郷に無い物は二瓶作って帰る時には一つを持って帰ることにしよう、と最初に決めていたのです。
 二瓶分の薬草を摘みながら、ジャナは故郷に帰る時のことを、ぼんやりと考えました。

 技を身に付けて故郷に帰り、世話になった人々に恩を返すことは、ジャナがここに来た目的でした。けれど、すっかり馴染んだこの地を去って、親しくなった人々とも離れ、故郷に帰って永遠にそこで暮らすと言うことは、今考えると、少し苦しくなる様な気がしました。

(……とりあえず、まだまだ先の事だから……修行だって、全然進んでないんだし……)

 ジャナは手に持った草を千切って口に入れ、何度か噛んで涼しい香りを吸い込むと、ふーっと息を吐きました。
 そしてまた、摘み草に没頭する事にしたのでした。
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