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プロポーズ体験売り出します
第7章 目的達成につき販売終了
「は?」と言ったきり俺は開いた口をふさげなかった。
会社辞める?ってなんだよ?
だって、新しい事業をやってみたいと言い出したのはアンタだぜ。
この会社の中で自分の実力を試し、成功の暁にはライバル・京香ちゃんよりも
上の立場が待っているだろうに。
あの時の、俺の面接の時の意気込みってそういう事じゃないのか?
それなのにものの数カ月で終了。
そのために踊らされた俺って、なに?

何を考えるでもなく俺は窓に近づき本社を見上げた。
まり恵ちゃんの、原因だか理由だかはあの中にあるんじゃないかと思ったから。
背中を向けたまま俺はやっと声を絞り出した。

「まず何から話してもらえますか?プロポーズ体験を止めること?
 それとも中野さんの退職理由?」

まり恵ちゃんは間を置かず答えた。

「プロポーズ体験を思いついたところから話すわ」

俺はゆっくりと振り返り、まり恵ちゃんに視線を合わせる。
長くなるから座って、と言われてソファに座りなおした。

「水神さんの不倫相手が社長だと聞き出す方法として思いついたの」

「えっ?」

水神さん、梶原社長とまり恵ちゃん。何らかの接点というか
関係性があるとは読んでいたからその名前が挙がることには驚かないが、
水神さんの不倫相手が社長だと知ること、つまりはあの二人が
不倫関係にあるという事実を知りたいということは、やっぱり
まり恵ちゃんも社長と関係があるからって事なんだ。

「まず最後まで一気に話しちゃうわね」

ここからまり恵ちゃんの告白が始まった。

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