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プロポーズ体験売り出します
第2章 二人だけのオフィス
「出社初日がこんなにいいお天気だなんて、なんだか縁起がいいっていうか、
前途明るい感じじゃないの、ねぇ?」
面接から一週間後、月曜日の朝にはやめてほしいくらいの眩しい青空。
その青空を窓から眺めるまり恵ちゃんが、声を弾ませた。
週の初めがこれだと、一週間目いっぱい働けよと言われているように
俺は感じるのだが、それってとことんひねくれ者ってことかな。
表参道から少し離れた道沿いにある、コンクリート打ちっぱなしの外観の
いかにもおしゃれビル。
6階あるうちの3フロアを「ハッピーサプライズ」が使っている。
1階にはおしゃれなカフェ。椅子やテーブルにこだわっていて、
家具のセンスはなかなかだ。でもメニューの写真をみると
この手のカフェにありがちな料理は気取った量しかなくて、
イケメン男子とは言えどもガッツリ飯を食いたい俺にとってはあまり用はなさそうだ。
初日ということもあってスーツをびしっと決めてきた俺は、
上司になったまり恵ちゃんの指示を待って部屋の中で突っ立っていた。
見回すと、空いているデスクはない。
試用期間だから自分のデスクなんかないってことなのかもしれない。
でもこのまま立っていてもどうにもならないと思うんだけど。