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プロポーズ体験売り出します
第1章 ハッピーサプライズ
面接の順番を待つために通されたこじんまりとした部屋の椅子は、
イタリアでは有名なインテリアデザイナーの手がけたものだとわかる俺は、
デザイン総合専門学校を卒業したばかり。
家具のデザイナーになりたくて、でも給料も待遇も満足できそうな
中堅以上の会社を受けたがどこにも引っかからなかった。
デザイナーとしての将来性を感じられないのかそれとも
「会社員」的な待遇を希望するようなクリエイターはいらないのか、
マッチングはうまくいかずに卒業を迎えてしまった。
このままフリーターになってバイトの掛け持ちか
勉強したことなどまるで役に立たない業種で働くことになるのか。
それは嫌だった。
なにか、他人と違った仕事をしたい。銀行員とか商社マンとかIT関連、
と一言で説明がつくような仕事、じゃないものをやりたい。
じゃあなにがあるよ?と求人サイトを見ていたら、ん?と
スクロールする指が止まった。
プロポーズのサプライズ演出を請け負う会社で開業してまだ3年ほどの、
いわば生まれたての会社。
「ハッピーサプライズ」という、内容と一致しすぎる名前の会社の面接を
これから受けようとしているのだ。それにしても・・・
プロポーズの演出を商売にする、それを買う客がいるなんて、
最初に思いついた人はスゴイと思う。