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プロポーズ体験売り出します
第3章 最低一つは売れるはずの商品作り
まり恵ちゃんと二人きりのオフィスは、案外と快適だった。
上司と二人きりじゃあ、いくら相手がかわいい女性だとしても息が詰まるのを
覚悟していた。でも程よい音量で流れる有線放送が静まり返った時の
妙な緊張を解いてくれるし、時々お向かいの本社から力仕事に駆り出されたりと、
時間の流れに飽きるようなことはない。
それに時々、リサーチと称して街中を歩きながら
様々な情報を収集してこいと外に出してくれたりもする。
「オフィスにじっとこもってるより外に出てファッションだとか食べ物屋だとか
あとはどんなカップルがいるかとか、なんでもいいからアイディアの
ヒントになるようなものを見てくればいいわ」
「わかりました。じゃあ昼休み終わったらリサーチ行ってきます。
その間中野さんは?」
本社で社長と打ち合わせ、とつぶやくまり恵ちゃんは何となく浮かない顔に見えた。
まあ、ウキウキするのも変だけど、どことなく気持ちがふさがれているように
見えたのは、俺の気のせいか心配のし過ぎなのかもしれない。
「さ、そろそろお昼休みにしようか。菱沼君、今日もお弁当持参?」
「いえ」
「じゃあたまにはとんかつ屋でも行こうか。今日は私のおごり!」
「おっ!マジすか?お供しまーす!」
やっぱ俺の取り越し苦労だ。
まり恵ちゃんは今日も元気だ。