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プロポーズ体験売り出します
第3章 最低一つは売れるはずの商品作り
3時のおやつタイムは上司・まり恵ちゃんの半ば命令で
すっかり習慣づいている。
当番制にしているお茶入れは今日はまり恵ちゃんの担当。
漂うコーヒーの香りに体を傾かせながらパソコンの画面を見ていたその瞬間、
「予約受付」の文字が現れて、俺は思わず、わぁ!と声を張り上げてしまった。
そのせいでか簡易キッチンの方からもきゃあ!という声が跳ね上がった。
「ちょっと、なによ!ビックリするじゃないの!なに、どうしたの?」
慌ただしくマグカップを台に置く音がして、直後にまり恵ちゃんが飛んできた。
声がうまく出ないから画面を指差した。え?と小さく呟くまり恵ちゃんが
腰を折り曲げて画面に顔を近づけた。やっと声が戻った俺は、
「予約・・第一号・・水神さんじゃないですよ。ほんとにほんとのお客ですよ!」
水神さんが嘘の客だって言うわけじゃない。でもそもそも知り合いなのだから、
気遣いってやつかもしれないと勘繰ったりする。でも、知らない名前のこの人は
このホームページの情報だけで「プロポーズ体験」という商品に
興味を持ってくれたわけだ。