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プロポーズ体験売り出します
第5章 二人目のお客様
今泣いた彩加はもう笑った。
代わりに俺が泣きそうになったけど、男だから、頑張って堪えた。
そして「幸せになろうな、俺達!」と仕上げの演技を付け加えた。
「あっ!あっちにメリーゴーラウンドがあるよ!明かりがついてきれい!
ねえ、あれに乗ってから帰ろうよ、いいでしょ?」
切り替えの早さは天下一品だ。
彩加はもう希望に気持ちをシフトさせているようだった。
もう体験は終わったのに、そんなことはお構いなしで
続きを楽しむかのように俺に誘いかける。
その調子だ、と俺も仕事を忘れた。
音をたてて椅子を引いて立ち上がる彩加につられて俺も勢いよく立ち上がる。
動作が大げさすぎたのか椅子が倒れて大きな音をたてた。
二人して大笑いしながら椅子を戻し、対岸の遊園地へと歩き出す。
黒い水面にイルミネーションが映りきらきらと光が漂う。
きれいな光景。
でも明日はきっと違う光景になるはずだ。
そうして変化する毎日を、彩加にも楽しみにしてほしい、と望みながら
彼女の手をぎゅっと握る。
その力に応えてくれた彩加の生命力を、信じたいと心から願った。
代わりに俺が泣きそうになったけど、男だから、頑張って堪えた。
そして「幸せになろうな、俺達!」と仕上げの演技を付け加えた。
「あっ!あっちにメリーゴーラウンドがあるよ!明かりがついてきれい!
ねえ、あれに乗ってから帰ろうよ、いいでしょ?」
切り替えの早さは天下一品だ。
彩加はもう希望に気持ちをシフトさせているようだった。
もう体験は終わったのに、そんなことはお構いなしで
続きを楽しむかのように俺に誘いかける。
その調子だ、と俺も仕事を忘れた。
音をたてて椅子を引いて立ち上がる彩加につられて俺も勢いよく立ち上がる。
動作が大げさすぎたのか椅子が倒れて大きな音をたてた。
二人して大笑いしながら椅子を戻し、対岸の遊園地へと歩き出す。
黒い水面にイルミネーションが映りきらきらと光が漂う。
きれいな光景。
でも明日はきっと違う光景になるはずだ。
そうして変化する毎日を、彩加にも楽しみにしてほしい、と望みながら
彼女の手をぎゅっと握る。
その力に応えてくれた彩加の生命力を、信じたいと心から願った。