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あなたからは逃げられない
第8章 珍しいクリスマス



「なんで泣くんだよ。」

「泣いてないっ…」

「涙出てる。なぁ、どした?」


誤魔化すことは簡単だった。
けどここで誤魔化すことは違うと思って素直に話すことにした。



「プレゼント、いらないなら捨ててください。」

「は?なんで?」

龍輝さんは私の頭を優しく撫でてくれた。
また彼のその手の感触で更に嬉しくて涙が伝う。


「私は何かされてばかりは嫌なの。
してもらったらしてあげたい。

これはあの店に入って目に付いて似合うと思ったから。
ネクタイだって店員さんが今日買うスーツに合うと思うって教えてくれてから...」

「バカかお前は。

カッコつけさせろよ。

葉月は俺と居てくれるだけでいい。
俺は葉月にいろいろしてやりたいんだ。

ギブ&テイクを望むのであればまた今度飯作って一緒に食おう。」


そう言って開けたプレゼントを見ながら
「ありがとう。使わせてもらうよ。」と言い私の涙を拭ってくれた。

「もう泣くな。化粧取れるぞ。」

「だめっ!!困る!」


本当に困るから涙を出さないように耐えニコニコしている龍輝さんを見ていると幸せな気持ちになれた。

龍輝さんはまだ行きたいところがあると私を隣に乗せたまま次の目的地へと走り出した。



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