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蝶々と甘い蜜。
第7章 歯車が狂うとき
三島の言う通りに、口を少し開けてみた。三島に何をされるのかわからないからなのか、それとも三島に対してなのか、心臓の鼓動の音がどんどん煩くなっていく。


「いい子だ…。」


三島がゆっくりと私の唇にルージュを塗っていく。男の人に塗ってもらうなんて、こんなにもドキドキするものなのだろうか。ルージュを塗った姿を自分より先に見られてしまうのが何だか怖い。もし、似合わないと思われたら……。


「三島さん、これ……」


ルージュを塗り終わった瞬間、バラの香りが口から僅かに香ってきた。ルージュの蓋もバラの形をしていて可愛い。


「私が作ったんだ。君をイメージして。」


「私を……?」


三島グループは化粧品も作るなんて……どれだけ大きな会社の人と私は接していたのだろう。


「赤がやや強めだが、オレンジも少し入っている。」


ハンドバッグから手鏡をとってみてみると、さっきまでしていて真っ赤なルージュよりこっちのほうが自分に馴染んでいて合っている。


「本当は誕生日の日にあげたかったが……」


誕生日の日に会えないとわかったから、これを渡しに来てくれたんだ。
こんな…プレゼントをもらって嬉しくない女性はいないだろう。
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