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第7章 歯車が狂うとき

「こうちゃん、もうバラしちゃったの？」


後ろから女性の声が突然聞こえてきた。振り向くとあの時助けてくれた女性であり、三島の「奥様」だ。


「結衣姉……」


「お姉さん……？」


「ふふふ、実の姉じゃないの。幼馴染でお隣さんに住んでいたの。こうちゃんのご両親が離婚するまでね。」


「あの…三島…さんの奥様……なんですか？」


「えぇ……一応ね。あなたには妻だということは知られずに、お礼をしたかったんだけど……バレてしまったら仕方ないわね。」


「どうして、内緒にしていたんですか？」


「私があの人の妻だといったら、あなたはきっと萎縮してしまう。私はあなたに対して怒ったりなんか全然していない。むしろ感謝の気持ちでいっぱいよ。だから、友達みたいに遊んだりしてお礼がしたかったの。」


「でも、私……」


「知っているわ。あなたがあの人とこの10年何をしていたか。普通の妻なら、あなたを罵っているかもしれないけど、私はあの人の相手をしてくれたことに対して本当に感謝しているの。10年…あの人の相手をしてくれてありがとう。だけどね……」


コツコツとヒールの音を立てながら、三島の奥様は私に近づいてきて、座り込んで両手で顔を包み込んできた。


「別れてほしいの、あの人と。」