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蝶々と甘い蜜。
第8章 【三島編】愛する人
車のエンジンをかけて車を走らせて、着いたのはあのマンション。
結衣と10年過ごしたマンションに無意識に足が向いていた。
相変わらずベッド以外何もないこの部屋で、結衣は何度私のことを待ったことがあるのだろう。
電話は基本私からしかしたことがない。
私に遠慮していたのだろう。


このベッドの上で何度も、何度も肌を重ねた。
妻の結衣のことを想って……。
だけどいつからか分からないが
目の前にいる結衣が、どういう風にすれば喜ぶのか
どうすればイッテくれるのか、それだけを考えていた。


結衣の肌の触り心地、唇の柔らかさ、体温は分かっても
もう、妻のは……


「分からない。」
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