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第10章 切ない想い

妻の結衣と甲斐の後姿を眺めながら
これでよかったんだと思った。
そう、これで、いい。
２人には幸せになってほしいと心から願っている。


そして、愛する結衣にはずっと笑っていてほしい。
自分のことで泣いたりする顔なんて見たくない。
本当は、笑顔を独り占めしたいけど……
泣く姿を見るなら、その笑顔を手放してもいいって思う。


苦しむのは自分だけでいい。
結衣が１０年気持ちを抑えてきたように
俺もこれからは自分の気持ちには封印をして
結衣の笑顔を守るために過ごすんだ。








そんなことはできるはずがないのに、
願わずにはいられないのが人間なのだろうか。