この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ソレは、そっと降り積もる・・・。
第23章 宿り木の下で偽りの口付けを
判っていても心が沈んでいく。
「そう言う訳でジュリアスさまは、いま我が家でお休みです。お判り、頂けたかしら?」
「・・・本当に、ジュリアスさんの〝意思〟ですか?」
信じたくない気持ちが勝ってしまう。自分を愛おしそうに抱き締めた腕も温もりも気持ちも〝偽り〟だなんてとても思えない。
「珱月さんは、ジュリアスさまが〝初恋〟・・・なのかしら?」
「そうです。」
「そう。ご両親は、ご健在?」
「はい。」
質問の意図が判らないながらも返事をする。
「では、夫婦仲は・・・宜しいのかしら?」
「はい・・・普通だと、思いますけど。」
「そう。なら、男女の機微に疎いのも仕方がないわね。珱月さん・・・私が言いたいのはね。」
「はい・・・」
「殿方など所詮花の色香に惑わされて花から花を渡り歩く蝶だと、言うことよ。」