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ソレは、そっと降り積もる・・・。
第23章 宿り木の下で偽りの口付けを
ジンジンと痛む頬に手を当てる。
「ジュリアスさまは、早々にお返ししますわね。きちんと〝別の女と寝たのを知っている〟って話すのですよ。それでもヒビが入らないのならたいしたものですわ。
それじゃあ、お茶・・・ご馳走さま。お邪魔しました。」
傷にきちんと塩を塗り込んで彼女は、帰って行った。
傷付いていない訳じゃない。不信が生まれない訳じゃない・・・しかしこの国で彼の言葉を信じる以外に〝なにが〟出来るだろう・・・・・・。
強気を見せないともっと付け込まれる。これは、長年の生活で思い知っていた。
だからついいつものように〝弱味〟を見せないように・・・と力んでしまった。
「っ・・・・・・」
「珱月さまっ!!大丈夫ですか?」
「ええ、マリー・・・大丈夫。」
そうは、答えたが張本人に逢うのは精神衛生的に良くなかった。