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第24章 　チューベローズ

　　


「お前･･･ミエリアが、好きなのか？」


　執事にしては、どことなく主に向けるような感情でないと気が付いた。


「そんなことなど、関係ありますか？」


　のらりくらりと交わしてしまうその姿に強い意志を感じた。


「そうか･･･あくまでも〝主従〟を主張するのか。だったら言わせてもらう。騙し討ちは、よくないな。それにそんなモノで〝情を交わした〟なんて言いふらせるのか？
　浅ましいと罵られる覚悟は、あるのか？」


　執事に言い負けるなどあり得ない。そんな姿は、自分が許さない。


「罵られ･･････」


「そうだ。俺は、構わない。薬で相手を間違えただけなのだし･･･しかしお前の大事なお嬢さまは、どうだ？
　薬を用いてまで男を籠絡しようとした。〝そこまでするのか、没落寸前家は〟･･･と言われてしまうのだ。」