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ソレは、そっと降り積もる・・・。
第25章 想い合うと云うこと
「ほんに。」
「しかし・・・ご子息が連れ帰ったのは、〝黒髪の乙女〟だと言う話しがありますが。」
「この国の尊いお方のことを蔑《ナイガシ》ろにする気は、毛頭ありませんが。連れ帰ったと言う相手は、元々黒髪を持った者です。
尊いお方の名を語るなど恐れ多いことです。」
「成る程・・・」
「そうでしたか。それは、捨て置けませんね。」
「全くだ。尊い建国に尽力したお方のフリなど・・・」
この国に伝説があっても伝説を重んじる者など居ない。ソレは、判りきっていた。皆、自分の一族の存亡のみに心血を注いでいるのだ。
血統の定かでない人間を貴族の中に、しかも〝正妻〟として迎え入れるのを良しとしない者だらけなのだ。
「それでは、皆さま・・・お力添え頂けますね。」
「もちろんです。」
「ご心配なく。」