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ソレは、そっと降り積もる・・・。
第29章 愛を注ぐ
「珱月・・・」
早く帰るつもりが結局遅くなってしまった。帰り着くと彼女は、スヤスヤと落ち着いて眠っていた。なにも訊かないでいてくれる彼女に申し訳なく思う。
ベッドに座り彼女の髪を撫でる。
「ん・・・・・・ジュリ、アスさん・・・?」
「ああ、起こしたか。」
彼女が目を覚まして名前を呼んでくれた。
「お帰りなさい、お疲れさまでした。」
「ああ、ただいま。」
甘い声で囁かれホッとする。
「?!!・・・ジュリ、アスさん?」
「少し、このままで・・・」
ベッドに横になって彼女を抱き締める。温もりを感じるとホッとする。胸に刺さったトゲが和らぐ気がする。
「ジュリアスさん・・・〝なにか〟、ありました?」
「いいや。」
宮中で起きたことや自分たちに起きたことを面と向かってまだ出来ない。