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第28章 　操られた上奏

　　


「レオノール、出迎えか？」


「ええ、そうよ。ジュリアスにも逢いたかったの。」


「そうか。ジュリアスが目当てか、妬けるな。」


「馬鹿なこと言わないで。」


「あはは。」


　妻との他愛ないやり取りも愛おしい。


「王妃さま。ご用件は、なんでしょうか？」


「珱月よ。あの子どうしているの？」


「元気でいますよ。
（･･･本当のことは、言えないなぁ）」


「そう。たまには、遊びに来させて。」


「はい。」


「あら･･･ずいぶんと素直に返事をすること。」


「えっ？！！
（しまったっ！）」


「いつもは、はぐらかすのに素直に返事をしたわね･･･ジュリアス。あの子、〝なにか〟あったのかしらね？」


「な、なにもないです。」


　女の勘は、侮れない。さすがは、王妃である。
　本当のことなど言えるはずない。



　ソレは、選ばれしモノ。