この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ソレは、そっと降り積もる・・・。
第39章 ソレは、〝黒髪の乙女〟・・・ 前
しかし私は、人買いに浚われたのだと知っても悲しくなかった。村が襲われなければ村神に生け贄として捧げられた命だったからだ。
新しい地で身売りをされても納得のいかない生け贄になるよりましだ。
》》 *
『王さま・・・』
『クロエか、どうしたのだ?もう遅い、休みなさい。』
『王さまこそ、ここ最近無理をなさりすぎです。どうかお休みに。』
『どうしたものか・・・このままでは、民が皆犠牲になってしまう。私を〝光の王〟と慕う民にどう報いればいいのだ。』
『王さま。まずは、お休みに。そしてスッキリしてお考えになって下さい。王妃さまと王女さまのことは、私にお任せを。』
『すまない。』
『いいえ。』
《《 *
私が漂着したランデルージュ王国は、飢饉と疫病が蔓延していた。大地は、枯れ果てて恵みの海は荒れ狂っていた。