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ソレは、そっと降り積もる・・・。
第6章  〝愛〟を知らない
  


「珱月さま?どうしました?」


「大丈、夫・・・・・・っ
(苦し・・・・・・ッ)」


「珱月さまっ!!」


 ベッドに倒れて意識を手放した。


 》 》 *


 〝恋〟など知らない。
 毎日が精一杯で、そんなことに割く時間がない。〝貧乏〟から抜け出して早く〝普通〟になりたかった。
 そしてその先に細やかな〝愛〟があればいいって思っていた。

 多くを望んでも手に入らないのだと知っていた。だから身の丈にあったものだけを望んだ。
 高貴な地位も羨まれる存在も望んでなんかいなかった。

 ただ一時でも〝ホンモノ〟が欲しかった。それなのに手に入れたのは、〝一時〟も〝仮初め〟でも〝ホンモノ〟をくれない存在だった。

 〝手に入れた〟んじゃない。〝手に入れられた〟、んだ・・・。彼の世間への〝復讐の道具〟として、選ばれただけだ。


  
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