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不器用な夫
第10章 キス
哀しみに興奮した僕はフェロモンを放ち暴走する。
「迎えは要らない…。」
そっと曽我の顔に触れてみる。
「で…、でも…。」
曽我が狼狽え始める。
「どうしたの?曽我君の方こそ顔色が悪いよ。」
クスクスと笑いながら意地悪に聞いてやる。
僕の指先はゆっくりと曽我の顔を撫で続ける。
「だから…、その…。」
曽我はただ狼狽える。
僕のフェロモンは感情や性的欲求で濃度が変わると清太郎さんから教わったばかりだ。
感情は最悪なほど高ぶり乱れてる。
性的欲求は清太郎さんにイかされはしたものの、もっと激しく愛されたいと不満を抱えたままだ。
曽我が僕の手から離すように顔を背けるが僕はそれを許さないとばかりに身体を曽我の大きな身体に擦り寄せて曽我の顔を僕の方へと向かせる。
「曽我君…、イかせ屋なんだろ?観光なんか退屈なだけだ。僕がイかせ屋に望むのは1つだけだよ。」
曽我の手を握り僕の胸に当てる。
「く…にまつ…。」
曽我がもう勃起してるのはわかってる。
清太郎さんに中途半端に疼かされた仕返しを僕は曽我にぶつける。
「男は…、いや?でも…、曽我君…、イかせ屋だし…。」
曽我の手で僕は自分の胸を撫でる。
これはオナニーと同じ。
イかせ屋を道具として使い自分の性的欲求を満たすオナニーなのだ。
幸せなだけの曽我と破滅の道を選ぶ。
それを見た清太郎さんはどんな顔をする?
哀れみと悲しみだけを僕に見せる?
怒りと嫌悪を僕にぶつけて来る?
僕は…。
「嘘だよ…。ちょっと曽我君をからかっただけだ。見ての通り、今の僕は興奮が治まるまで街になんか出られない。だから清太郎さんもまだ僕を帰せないと判断したんだよ。」
曽我を突き放し冷静になる。