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不器用な夫
第10章 キス
清太郎さんが丸一日僕から離れようと決めたのは、そういう事だとわかってる。
全てを曽我に任せるという言い方をして清太郎さんは僕から離れたがってた。
清太郎さんが傍に居れば僕の興奮は治まりを知らずに清太郎さんにもっとと強請る事になる。
僕は自分を辞すと決めたのだから、それを速やかに実行する。
「疲れてるんだ。1人にして欲しい。」
曽我にそう願えば僕1人の部屋があてがわれる。
和室に布団が1組。
僕はその部屋で昼寝をしたり、曽我が用意してくれた本を読んで過ごす。
本が読みたいと言えば曽我が僕の為に本屋にまで買いに走ってくれる。
喉が乾いたと言えば曽我がお茶を持って来る。
襖1枚向こうで曽我はずっと執事のように控えて僕に粗相のない対応をしてくれる。
これは、曽我の為の訓練の時間かもしれない。
イかせ屋として国松家の男との付き合い方を学ぶ時間を清太郎さんは曽我に与えたのだろう。
夕方になる頃には僕の気分も落ち着いて来る。
曽我と夕食を済ませ、風呂に入り用意された部屋で寝る前の読書をする。
そろそろ寝ようかと灯りを消した瞬間、僕が居た和室の襖が開き廊下からの光が差し込む。
その光を背にした大きな男のシルエットに僕は驚きの表情を浮かべる。
「曽我君…。」
襖が閉じられて曽我が僕の居る布団に近付く。
ふわりと僕を抱き締める。
何のつもりだ?
そう曽我に聞く前に曽我が僕の顔を撫でて
「今夜は一緒に寝よう。」
と照れたように笑う。
「寝るって…!?」
「俺はお前の傍に居たいんだ。俺の友として…、親友として…。俺は未熟者でまだお前には何もしてやれないかもしれない。だけどお前が望むならイかせ屋としてお前を抱くし、イかせ屋で満足が出来ないのなら俺はお前に何でもしてやるよ。」
苦しげな切ない声で話す曽我が僕の貧弱な胸に顔を埋めて来る。