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不器用な夫
第11章 愛撫
その布団を捲ろうとしてもハコは小さな手でしっかりと布団を握り締めている。
「ハコ…、ごめん。」
「謝って欲しいんじゃないもん。」
泣いてるような声…。
本当にハコを傷付けたのだとわかるからキュッと胸が痛くなる。
清太郎さんが言ってた僕の全てを愛してくれる妻にハコがなってくれるかはわからない。
だけど今はハコが僕の妻であり、こんなつまらない事でハコを傷付けたくはない。
ハコはいずれもっと傷付く事になる。
それを考えるだけで僕は必死になる。
ハコを可愛がりハコを甘やかしたいと願う。
「ハコ…、ねぇ…、お願いだから…。」
布団から少しだけ覗かせるハコの頭にキスをしてハコを布団ごと抱き締める。
「ハコが怒る理由はわからないけど…、ハコが怒ってるのは耐えられない。だから…、話をしてよ。」
ハコの頭にキスだけを繰り返す。
ハコが顔の半分だけを布団から出してくれる。
ハコの目には涙が浮かんでる。
その涙を吸うようにハコの瞼にキスをする。
「誰の事を…、考えてたの…?」
ハコがボロボロと涙を流す。
「僕が?」
「ずっと何時間も…、要さんが考えてた人って誰?ハコじゃないのはわかってる。要さんにハコの声なんか聞こえてなかったもん。ハコよりも要さんがいっぱい考えちゃうような人が居るならハコなんかっ…!?」
必要ない。
それが言えずにハコが言葉を詰まらせて泣く。
ささやかな誤解…。
まだ少女であるハコはその程度の誤解でも深く傷付くのだと教師だからわかってる。
まずは僕にはハコが必要なんだとわからせる為にハコを強く抱き締めてやる。
ハコの髪を耳に掛け、うなじが見えるように寄せてからハコの耳に口を寄せる。