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不器用な夫
第12章 勃起
ギュッとハコを抱き締めて、なかなか寝付けない自分に苛立ちばかりを感じる夜だった。
夜明けに目が覚める。
ハコがベッドに居ない。
「ハコ…?」
ハコを探してリビングに行く。
「おはようございます…。」
フリルの付いた短いエプロンをするハコが台所に立ってる。
「何をしてるの?」
「要さんのコーヒーを入れてるの。」
ハコが笑顔を見せた。
そんなハコにキスをする。
僕の愛する妻としての努力をハコがしてくれる。
天然でズレたハコだけども、ハコはハコなりに必死に努力をする子だ。
今はハコがきっと良き妻良き母になれると信じるしかない。
だからハコを信じて着替えをして洗顔などを済ませてしまう。
ダイニングのテーブルに座りハコに出されたコーヒーを飲む。
「ぐはっ!」
行儀悪くコーヒーを吹き出した。
「要さん…、汚い…。」
ハコが眉を顰める。
汚いも何も…。
飲めたものじゃない。
うちのコーヒーはただのペーパードリップだ。
コーヒー豆にお湯をかけ、カップ1杯分だけを抽出するシンプルなコーヒーのはず…。
ハコが作ったコーヒーはやたらと濃く、ねっとりとした味わいがする。
「どうやって入れたの?」
「普通にコーヒー豆を入れてお湯をかけました。」
そのくらいは出来るとハコが口を尖らせる。
「コーヒー豆の量は?」
「ちゃんと線のところまで入れましたよ?」
ニコニコと答えたハコに脱力感を味わう。
ハコが入れた量はドリッパーのお湯の目安線までだ。
「そこまで注ぐのはお湯…、コーヒーは計量スプーン1杯分で充分です。」
「そうなの!?」
「自分で入れ直すよ。」
ハコは夕べの残りで朝食中だ。