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不器用な夫
第13章 食事



まだ僕とハコの恋愛は始まったばかりだ。

焦れば不器用な僕はハコを失うだけになる。

目の前の事を1つづつ乗り越えて行こう。

書斎を出て家を出る。

近所にある小さなケーキ屋に入る。


「高校生くらいの女の子に人気のケーキを2つお願いします。」


僕の注文にケーキ屋の女の子達がクスクスと笑う。

きっと僕は顔を真っ赤にして必死な形相を見せてたのだろう。

恥ずかしいとは思わない。

それがハコの為だから…。

ケーキ屋の女の子が選んでくれたのは苺が乗るチーズタルトという丸い小さなケーキだった。

それを買って帰るとハコが青い顔をして玄関で僕を待ってる。


「どこに行ってたの?」


ハコの声が震えてる。

しまった…。

一言だけハコに出掛けると言うべきだった。


「ごめん、ごめん。勉強を頑張るハコの為にケーキを買いに行ってたんだ。」

「ケーキを?」

「勉強の邪魔をしたくなかったから…。」

「要さんがハコの為にケーキ?」

「そうだよ。」


ハコが笑顔で僕に抱きついて来る。

僕はそんなハコにキスをする。

愛してる…。

僕の可愛い奥さん…。

僅かでもハコに愛されてると感じるだけで幸せな気持ちになれる。

焦らない。

ゆっくりと僕はハコを愛する。

藤原家を頼るのはそれからでも遅くはない。

ゆったりとした静かな午後をハコと楽しむ。

そして僕はハコを抱き締める。


「ハコだけを愛してる…。」

「ハコも要さんをいっぱい愛してます。」


笑顔のハコにキスをする。

焦らない。

もしかすればハコが不器用な僕を嫌だと言う日が来るかもしれない。

その時は男らしくハコを諦める。

だが、今は僕を愛してると言うハコを信じてハコの傍に居る。


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