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不器用な夫
第14章 捻挫



放課後になり、学生達が帰る姿を窓から眺める。

いつもならばホッとする時間…。

比較的に問題は少ないお嬢様学校。

大半の学生が家からの送り迎えを受ける為に下手な問題を起こさない。

問題が起きるのは学校内での事ばかりだ。

それも小学生レベルかと言いたくなるような問題ばかり…。

いや…。

考え方が小学生というだけで問題のスケールだけはやたらと大きなお嬢様達…。

去年は演劇部の女子2名が救命レスキューを学校に出動させる騒ぎを起こした。

彼女達は事もあろうか校舎の屋上の柵を越えて両手を広げるという馬鹿な行為を繰り返す。

その様を見た他の生徒が自殺だと叫びながら職員室へ駆け込んだ。

緊急レスキュー出動の騒ぎに屋上の女生徒達も何事だと安全な場所まで戻って来る。

担任や理事長が事情確認に乗り出した。

屋上に居たのは演劇部。

文化祭での発表演目は『タイタニック』…。


「ハーネス(命綱)ならちゃんと付けております。」


と演劇部のお嬢様達は開き直る。

学校対応としてはレスキュー隊に誤解だったと平謝りをした上で問題を起こした演劇お嬢様達には


「演劇の練習を危険な場所でしてはいけない。」


と厳重注意だけで留める事になった。

後日談としてお嬢様達の言い分は


「本物の風を感じたかった。」


とかなんとか…。

後は演劇部の顧問が季節外れの扇風機を買いに走ったとかいう小さなエピソードもあった。

今年は入学早々に


「食堂のメニューに飽きちゃった。」


とハコが茅野家のシェフを中庭に呼び付けて、ちょっとしたガーデンパーティーを開催した事件が記憶に新しい。

そんな事が日常茶飯事な学校では学生を学校から放り出すこの時間が一番気が抜ける瞬間だ。


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