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不器用な夫
第15章 相談
ハコが家から出て来たのを確認してから、急いでエレベーターに乗り込む。
「ハコっ!急いでっ!」
僕の言葉で玄関の鍵閉めたハコがエレベーターに駆け込んで来る。
「今夜は一緒にお風呂に入りたい…。」
エレベーターでは2人っきりなのだからとハコの頬にキスをして囁く。
「知りません…。」
照れた表情でハコが僕からそっぽを向く。
あの程度じゃ妻の機嫌は治らないらしい。
まだ水曜日…。
週末はハコの機嫌取りに必死だと苦笑いをする。
「いってきます。」
多少は機嫌を治したハコがそう言って自分の車に駆けて行く。
「奥方様の機嫌は?」
嫌味たっぷりに公平が聞いて来る。
「まだだよ。」
帰ったらハコを悦ばせる。
しかし、その後はどうすればいい?
勃起が難しい自分が情けなくなって来る。
気が重いまま学校へ行く。
職員室では森下先生がチラリとだけ僕を見たら北川先生の傍に行く。
視線だけは僕に向けて北川先生のネクタイの歪みを直す森下先生に呆れて来る。
これ以上、他の煩わしさはごめんだと早々に職員室から逃げ出した。
変わり者の教師…。
この学校じゃ、そう思われてる。
自分専用の教員室にばかりに籠る地味な古典教師。
要するに、そうやって人付き合いを避ける。
僕の特異体質を知るのは理事長と保健医の新巻先生だけだ。
理事長は用事がない限り僕に接触する事がない。
その為に女性であり既婚者である保健医が比較的親しい同僚になる。
ハコの事を考える。
いっその事、新巻先生のカウセリングを受けるか?
そんな事は無意味な事だ。
僕の体質を救えるのは藤原家だけ…。
また、ため息が出た。