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不器用な夫
第15章 相談
まずはハコを保健室へと連れて行く。
保健医の扉をノックして中へと滑り込む。
「やだ…、今日は夫婦でご登場?」
ニヤニヤとして白衣を着た新巻先生が僕とハコを見比べる。
「シーッ!?」
慌てて僕は人差し指を立てる。
「大丈夫よ。今は誰も居ないわ。」
ケラケラと笑う新巻先生。
僕だけがアタフタする。
「ご要件は?」
「茅野君に着替えをさせたいだけです。」
「着替え?」
「とんでもない忘れ物をして、それが今届いたところなんです。」
「とんでもない忘れ物?」
新巻先生の質問が続く中、ハコが手にした紙袋の中身を新巻先生に見せる。
「嘘っ!?」
新巻先生が顔を引き攣らせて笑う。
「事実です。だから、ベッドをお借りして着替えをさせたいんです。」
僕は真面目に要件を言う。
「国松先生もご一緒に?」
「茅野君だけですっ!?」
新巻先生の冗談好きには参る。
ハコはベッドに行きカーテンを閉じて着替えをする。
「後、新巻先生にお願いが…。」
「あら?何?」
「茅野君を1時間目はここに居た事に…。」
僕の頼み事に新巻先生が意地悪な顔をする。
「ふーん…、ここには居なかったのに?」
「あんな格好で授業に出せる訳がないでしょ?」
「そりゃ、そうよねー…。だから夫と居ましたってのも問題だと思うけど…。」
「わかってます。」
ハコだけを妻だからと特別扱いする事はやはり許される行為ではない。
「まあ、今回は特別ね。新婚さんだし…。」
「ありがとうございます。」
「その代わりにお昼は奢ってね。」
既婚者の新巻先生は名家の出身だが、ちゃっかりとしてる人だ。