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不器用な夫
第15章 相談
「先生ーっ…、着替えたよ。」
ハコがカーテンを開けて出て来る。
「大丈夫か?」
僕の質問にハコがスカートを軽く持ち上げて
「確認します?」
と聞いて来る。
「要りません。早く教室に戻りなさい。」
脳天気なハコに脱力感を味わう。
「今夜は早く帰る約束だよ。」
そう囁くとハコが保健室から飛び出した。
「結婚は上手くいってるみたいですね。」
新巻先生がカウンセラーとして心配をしてくれる。
僕の体質を知る数少ない友人…。
「どうですかね…。」
既婚者である彼女に勃起しない夫をどう思うのかをストレートに聞いてみる。
「難しいとは思います。だけどそれを話し合い乗り越えるのが夫婦というものです。」
優等生の答えだ。
「その話し合いが僕には難しいのです。」
「茅野さんが焦るのはわかりますけど、国松先生まで一緒になって焦ってどうするんですか。」
クスクスと朗らかに新巻先生が笑う。
「でも…。」
「そうやって焦ってるうちは夫婦じゃなくてまだまだ恋人関係ですね。でも熱々で羨ましいですよ。」
新巻先生の言葉に恥ずかしくなる。
新婚の自覚はあるが僕とハコの恋愛は始まったばかりだから1日中でもハコと家でベタベタしてたいとか思って当たり前だ。
でも…、その為には…。
いわゆる夫婦の営みという部分から逃げる事は出来ないと思う。
「国松先生は2時間目はないの?」
新巻先生の言葉に固まった。
僕にも授業がある…。
「失礼致します!」
次の授業まで後1分…。
保健室を飛び出し、遅刻気味の僕は教師として有り得ない早足で学校内を駆けて行く。