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不器用な夫
第17章 罪悪



教員室で1人になると一気に脱力感が襲って来る。

不味いな…。

今なら通りすがりの男にレイプされても抵抗すら出来ないほどまでに僕の身体が欲求不満を訴える。

不便な体質だ。

携帯を取り出して新巻先生に連絡する。


『あら?今日は何?』

「往診の依頼です。」

『すぐに行くわ…。』


電話が切れて10分もせずに新巻先生が僕の教員室へと現れた。


「ちょっと、いいかしら?」


机に頭を伏せてぐったりとする僕の額に新巻先生の手が触れる。


「わざわざ私を呼び出したって事は、これって普通の風邪とかじゃないって事よね?」


新巻先生の質問に僕はもう頷く力しか残ってない。

新巻先生の白衣の胸ポケットから出された体温計で熱を測り僕の脈を確認する。


「37度8分…、この熱は例の体質の副産物?」

「ええ…、まあ…。」

「って事は…、フェロモンって言われる分泌物が止まらない状況なの?」

「そうです…。」


全身が熱くて堪らない。

もしも新巻先生が男なら今すぐに脚を開いて誘ってるだろう。

そこまでの極限に来た欲求不満をもう僕自身がコントロールするのは難しい。


「職員会議を…。」


休みたいと新巻先生に伝えれば新巻先生がその段取りを付けてくれる。


「あのさぁ、余計なお世話かもしれないけど医者の立場として言わせて貰っていい?」


新巻先生が僕の顔を覗き込む。


「国松先生ってさ、何でも1人で抱え込もうとするけどさ。夫婦って2人で寄り添って生きるのが夫婦ってものなのよ。」


新巻先生のお説教に苦笑いしか出来ない。

夫婦なのだからハコにも苦労と苦痛を与えろと?

まだ子供で無邪気なハコに?

そんな事が出来る訳がないと僕は新巻先生に首を振るだけで精一杯だ。


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