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不器用な夫
第17章 罪悪
心配する新巻先生の見送りを受けて公平が待つ車に乗り込んだ。
「悪い…。」
フェロモンのコントロールが効かない身体を公平に晒す事は公平には地獄だとわかってる。
「……。」
返事すらしなくなった公平に本当にすまないと思う。
公平が新巻先生のように女性なら、こんな苦労をさせずに済む。
執事を苦しめる最悪の主だと自分を責める気持ちが生まれる。
家に帰れば僕の帰りを待つハコが一目散で玄関に飛び出して来る。
「要さんっ!」
ハコの叫び声がする。
キスしたい…。
ハコを抱き締めてベッドに行きたい。
だけど、そこで僕の意識が吹き飛んだ。
「坊っちゃまっ!」
「要さんっ!」
同時に2人の声がする。
なのに僕は夢の中に居る。
あれは、幾つの時だろう?
小学校に入ってすぐか?
お坊ちゃまやお嬢様ばかりが通う小学校…。
お金持ちや名家の子ばかりだから礼儀正しくて大人しい子ばかり?
そんなのは嘘だ…。
我儘で残酷な子供ばかりの学校で僕はビクビクと怯える毎日を過ごす。
先生は何かと班で行動しろと言うけれど、執事やメイドに命令する立場を主張する子供に協調性を学ばせるのは至難の業だ。
「お前がやっとけよ。幽霊…。」
影が薄く、お化け屋敷の様な古い洋館に済む僕はガキ大将にそう言われる。
グループ行動を言われる度に僕にだけ、その責任が押し付けられる。
少しでも不備があれば
「役に立たねえやつだな。」
そう言って僕よりも1回りも身体の大きなガキ大将に突き飛ばされたりする。
「うちの坊っちゃまに乱暴をするなっ!」
1つ歳上の公平がガキ大将に飛びかかる。