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不器用な夫
第17章 罪悪
「執事のくせに…、生意気な…。」
ガキ大将は公平をも馬鹿にする。
2人が取っ組み合いの喧嘩をしても僕は泣くだけになり先生が止めてくれるのを待つしかない。
それは僕が主として頼りないという意味であり先生に喧嘩の原因すら説明をしてやれない。
結果として公平だけが学校からは罰せられる。
公平は学年が違うから…。
歳下の子に手を挙げたという理由だけで毎日のように公平だけが罰則である反省文を書かされる。
そして僕はガキ大将に目の敵にされるだけの毎日…。
幽霊と呼ばれ、誰も僕の存在を認めてはくれないだけの日々…。
何故かガキ大将だけが事ある事に僕に苛立ちをぶつけて来る。
まだ、その原因が自分のフェロモンのせいだとすら知らない幼い僕は家に帰り1人で泣く。
「もう…、学校には行きたくないよ。」
公平と僕を迎えに来た東にそう言って自分の部屋に閉じ籠る。
その夜、僕は高熱を出した。
僕の中で学校生活への不満が限界に達したのだ。
心と身体のバランスが崩れて全身からフェロモンを吹き出した為に起きた発熱。
公平も東も僕から遠ざけられて僕は1人っきりで高熱に魘される。
額にひんやりとした手が乗せられた。
とても心地よく安心感を与えてくれる手だった。
「大丈夫よ…、傍に居てあげますからね。」
母の手だ。
本当は僕の存在を恨んでてもおかしくない母だと今なら思う。
僕を生み出す為に母は女性としての屈辱を味わう結婚を父とした可哀想な妻なのに…。
母はいつだって僕に過保護で僕の傍に居たがるという母のままだった。
だから、僕の為に食事を作る事も何も出来ない母だったけど僕は母が大好きだった。