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不器用な夫
第17章 罪悪



コーヒーを飲みながら、その裏切りに自分を責める。

ゆっくりとベッドに腰を掛けた公平が僕の髪を撫でて来る。


「それでも貴方が次期国松家の当主で奥方様は貴方が愛する国松の御正室に変わりはありません。自分はあくまでも貴方の執事であり貴方の為に尽くすだけが仕事です。」


当主を目指す僕が今、愛すべき存在はハコだけなのだと公平が念を押す。

わかってても身体の裏切りを心が許さない。

無邪気なハコを裏切り続ける男なんかハコの夫に相応しくない。

本当にハコを愛してると思うのならばハコが傷付く前に離婚すべきが筋というものではないのか?

ハコとは別れ、果歩のように何をされても割り切るという女と藤原家に行き孕ませるだけの方が楽な気までして来る。


「急いで下さい…。」


公平は執事として僕を急かす。

ハコに顔を合わせ辛い僕は公平のベッドでグズグズとしてしまう。


「坊っちゃま…。」

「わかってる。僕の着替えの用意でもしてろ。」

「御意…。」


公平がニヤニヤと笑う。

公平の部屋でシャワーを浴びて偉そうにするだけの未熟で情けない主人を公平は笑うのだ。

熱いシャワーが僕の身体の全てを洗い流す。

夕べ僕が散々放出したものも、公平が僕の体内に放出したものも洗い流し、何もなかったかのようにハコと会わなければならない。

ずっと…。

愛人に逃げる事で母に寂しい思いをさせる父を責める気持ちしかなかった。

今なら父の気持ちが少しだけ理解出来る気がする。

父も本当は母を愛してる。

その愛情でフェロモンのコントロールを見失うたびに父は愛人とホテルで暮らす

新巻先生が先輩である両親からアドバイスを貰えと言ってたが、それが父と母が出した答えなのだろう。


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