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不器用な夫
第17章 罪悪
だから母は離婚をしない。
必ず自分の元へ父が帰って来る事を知ってるからだ。
1人で寂しく父の帰りを待つだけの母を父は愛する可愛い女として扱う。
僕はそんな父と母のように背徳をハコに強いる事が出来るのだろうか?
ハコを愛してる。
それは間違いなく感じる感情だ。
だからハコの中でオーガニズムに達したい。
ハコの国松の妻としての立場を確かなものにしてやりたい。
しかし、それは本当にハコが望む事なのだろうか?
まだ16歳の少女が夫が男と浮気する事を納得なんか出来るのか?
ましてや子作りをするのに『イかせ屋』という男を必要とするなんて状況を受け入れるとか不可能な事にしか思えない。
そんな最低な夫はやはり嫌だとハコの方が僕を拒否するかもしれない。
グダグダと悩む僕に焦れた公平が再び僕を急かす。
「ランチには間に合うように本家に行かなければ、奥方様がまた坊っちゃまの心配をされますよ?」
これ以上の心配をハコにかける事は出来ない。
「わかってるさ。」
グズグズしながらシャワーを止める。
風呂から出れば公平が僕の全身をバスタオルで拭き始める。
「自分でやるから…。」
「なら…、お急ぎ下さい。」
子供のように僕を扱う公平に、全身を触られるのが嫌だった。
ハコへの裏切りが終わらない気がする。
フェロモンはしっかりと治まった。
熱は引き、公平が無茶をした証に多少の痛みが身体に残ってるが、それもやがて治まる。
今は心だけが痛みを発する。
ハコに合わす顔がない。
それでも着替えを済ませ、公平は僕をハコが待つ国松の実家へと連れて行く。
お化け屋敷のような洋館に入る事を躊躇う。