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不器用な夫
第18章 学生



公平はハコを見ても顔色1つ変える事はない。

後部座席に居る僕とハコに見向きもせずに父と母が乗る車を追いかけて運転する。


「花火大会?屋形船?来月のいつなの?」


僕の腕にしがみつき目を輝かせて聞いて来る。

そのハコの顔をゆっくりと撫でて


「夏休みに入ってすぐだよ。その前にハコは試験をクリアしなければいけないよ。」


と興奮気味のハコに釘を刺す。


「わかってるもん。」


ハコが尖らせる唇に口付けをする。

ハコよりも僕自身が興奮する行為を控えなければならないとわかっていても、ハコ可愛さに引き寄せられては興奮する。


「要さんったら…。」


ハコが照れた顔でふふふと笑う。

ハコの首筋にキスを繰り返してハコと離れた1晩という溝を埋めようとしてしまう。


「到着致しました。」


公平が不機嫌に言う。

僕がハコに興奮をして再び容赦ないフェロモンを撒き散らされるのはお断りだという目で僕を睨む。

そんな公平を無視して母が行きつけにしてる呉服屋へ家族で行く。


「お待ちしておりました。国松様…。」


店の主が店の奥にある特別室へ案内する。

和室の特別室には浴衣用の反物が何本も用意されており、母とハコが気に入った柄を選んで新しく仕立てさせる事になる。

確か、藤原家とも繋がる老舗の呉服屋だ。

父が母は着物の方が似合うと連れて来てからの付き合いだとは聞いている。


「今年の浴衣はこんな感じになります。」


店側は今年の流行り柄を母とハコに見せて来る。


「浴衣って着方がわからない。」

「私が着せるから大丈夫よ。」


ハコと母が本物の親子のように仲良く浴衣の柄を自分の身体に合わせて選ぶ間、父が僕に話があると促し特別室の隣にある別室へと移動する。


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